あき鍼灸院 ブログ

小児の水疱瘡(みずぼうそう)治療の考え(鍼灸治療の場合)

 水疱瘡
☑ヘルペスウイルス科・・・《小水疱が密集した皮膚の病気。ヘルペスウイルス感染による単純疱疹や帯状疱疹をさす。疱疹ともいう》
 の水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染による感染症です
☑冬から春の感染症(12~7月が多く、8~11月に減少)ですが、年間を通じて発生します
☑飛沫、飛沫核による空気感染または、接触感染で感染して、その潜伏期間は2~3週間です
☑乳幼児、学童のいずれの年齢でもかかります
☑母子免疫は、麻疹ほど強力でもないため、新生児でもかかることがあります
☑成人もかかることがあり、38度以上の高熱や全身の発疹など子供よりひどいケースが多いとされています
☑かかってしまえば2度目の再発はないと言われますが、感染しても発症しないだけで、抗体が消えれば再発する可能性があります
☑治癒後も神経節などにウイルスの潜伏が有り、ストレスや疲労や免疫力の低下している時に帯状疱疹として発症することがあります



 症状は
☑発熱と発疹で、それぞれの発疹は
 紅斑→紅色丘疹→水疱形成→膿疱→痂皮化(かさぶた化)を約3日ほどで経過します。また次々に新しい発疹が出るのも特徴です
☑水疱の周囲は暗褐色
☑全てが、かさぶたになって治癒とします。(目安は約1週間です)
☑この発疹は、多くが体幹に現れ、四肢には少ない。
☑頭皮や口腔などの粘膜にも出現します
☑体が温まるとかゆみが増す
☑健康状態が良好な体の予後は良好ですが、そうでない場合は重篤で、致死的経過をとることもあります。




 東洋古典医学では
ヘルペスによるものを 脾虚熱証として診断、治療していきます。

☑ヘルペスは陽明経から発散されなければならない陽気が、脾虚があるために発散されず、停滞して発症したものです。
☑肌肉に熱が停滞した状態です。
 熱の停滞が旺盛なので、陽明経から肺経に内攻することことがあります
☑神経痛のような痛みのある部位に鍼灸治療をすることで、ヘルペスが出ることがありますが、
  これは内に潜んでいた熱が発散されているよい兆候です
☑飲酒すれば、かゆみや痛みが増し治りも遅くなります。
☑陰経にできているものは治りにくいとされています
☑顔面にできているヘルペスは、顔面神経マヒや三叉神経痛を起こすことがあります
☑頭部のヘルペスは要注意です。脳へ内攻すると半身不随意や死亡する恐れもあります


●脈診では
脾虚ですが、胃腸症状はなく、陽明経の熱か肺経の熱かは、右寸口の浮沈で判断します
す。
脾虚の脈をしていますが、熱のある部位は他の脈より目立って感じます。
例えば小腸経の熱なら左寸口が他の部位より少し浮いています。
心や肺の熱なら左右の寸口脈が沈んで堅くなっています



●切経背診
脾経や陽経、脾兪、胃兪近辺の状態を診ます


●治療

脾虚で補ったあと、肺経の魚際を補うか孔最を瀉法する(脾虚肝実証の場合)
ヘルペスの水疱に対して透熱灸をすえることで、完治も痛みの引きも早くなる(瀉法)
ヘルペスのできている近くに浅い置鍼治療をする
接触鍼(せっしょくしん=刺さない鍼)も有効です。とくに小児や虚弱な方への治療の場合刺激量の注意も必要なため接触鍼にて治療することが有効でないかと考えています。
接触鍼にて、脾虚を補い熱をさばきます。




以上のことから
小児の水疱瘡(みずぼうそう)治療には、接触鍼による脾虚を補う治療を中心として、肌肉に停滞している熱を発散させることで、治癒をより早く進めることができると考えます。