あき鍼灸院 ブログ

蔵象学(生理学) 心包と三焦について




 心包の蔵象学 (蔵象=西洋学で言うところの生理学)
 
性質
 
・心包(しんぽう)は、心の陽気が表面に出てくるためのものです。

・心包そのものも陽気を受けている

・心の陽気を『君火(くんか)』【気の陽気と血の陽気が合わさったもの=神】といい、

心包の陽気を『相火(そうか)』といいます。

・君火が相火となって出てこないと陽気が巡らないため体は働けません。
 
・臣使の官(しんしのかん)と言います

・心は五臓六腑を統括する役目を持ち、臓腑が分業して、互いに強調して、全体の活動機能を発揮できるように統一指導できる

・臣使の官とは、君火の使いをする臣下という意味

・相火が旺盛であれば、性格が朗らかでゆったりしている。

・膻中(だんちゅう)という胸のまんなかにあるツボは、心包の陽気が多くあって、診断と治療部位となる




 
 心包と腎との関係

●心の陽気(君火)が、心包を介して腎に入ります

腎は、それ自体には陽気がないためにもっともそうかを必要とします

心包から出た相火は、膀胱経を通り腎経に入り五臓六腑に行き渡ります。



●命門(めいもん)=《腎の右をさす。または経穴名で経穴名、石門(せきもん)の別名》
腎の精水(せいすい)と合わさって人体の根源の陽気としての働きをする。
【精水=津液(しんえき)】
これを相火、腎の陽気、命門(めいもん)または、すべての陽気の根源なので三焦原気とも言います

命門の火がないと、腎の水が多くなりすぎて、冷えるようになります




●陰陽の交流
心の陽気(君火)が、腎に下ってきて命門の火(相火)となります。腎に陽気が降りてくる腎の陰気が上がっていく交流がないと、陰気だけが下にたまって体の下は冷えるし、臓器も働けなくなります。

また上に陽気がとどまってしまって、のぼせた状態となり
☑肩こりや
☑耳鳴り、
☑めまい
☑不整脈などの心疾患

などの病を生み出す原因となります。



 腎がしっかりしているために心の陽気が、正常に保たれています

腎の精水(=津液)と相火(命門)が盛んであれば、脾胃がよく働くことができます。

脾胃がよく働けば、気血水(津液)の生成も盛んになります。

そうすれば、腎には津液(=精水)が、肝には血がそれぞれ貯蔵されて、肺気《肺がつかさどる気の機能、または呼吸の気および胸中の宗気、肺の精気》は循環して心にも気血が送られます。

そうして心から相火が出てまた三焦を働く原動力となります。

 

 三焦(さんしょう)の働きと性質
 
・焦とは『こげる』という意味。ここから三焦とは陽気の働きをいったものとなります。

・三焦の働きは、上焦・中焦・三焦 の三つに分類されています。

・心、心包に熱が多くなれば、反応を表します

すべての臓腑経絡の寒熱を調整する役割を持ちます。

・最も熱を受けやすい経絡は三焦経と胆経である

・命門の陽気(腎の陽気=相火)が弱っていると、表裏関係にある三焦の陽気も弱っている。そして全身が冷える
 
●上焦の働き
 
・上焦の部位はむねである。

言い換えると(横隔膜より上)およびその作用になります

・胸には心と肺があります。ここへは胃腸で生成された
営気(えいき) ・・・【飲食物から生じ経脈中をめぐり全身を栄養する精気のこと。栄気、営陰ともいう】

衛気(えき)   ・・・【体表を保護し外邪の侵入を防ぐ気。衛陽ともいう】

宗気(そうき) ・・・【衛気と大気とが結合して胸中に蓄積された気】

が昇ってきます

宗気は呼吸の原動力
営気は血となって、心の陽気となり
衛気は肺気によって全身を巡ります

●中焦の働き
中焦は、脾胃と肝の部分になります。

言い換えると、三焦腑の中部構造とその作用、剣状突起の下端より臍までとなります

脾胃では腎から来た津液と命門の陽気が作用して気血を生成します

気血は胸に昇って上焦の陽気となり、肝は血を蔵して発生を主ります。


●下焦の働き
下焦の部位は、
臍(さい)=おへそ より下を言います。
言い換えると、(臍から下)およびその作用。下焦と膀胱は最も密接な関係です。

下焦には命門の陽気があって全身の働きの源となります

衛気は下焦で発生して上焦に昇ります


下焦は大小便の排泄を行います
下焦のバランスが狂えば大小便の状態にも反映されます。
例えば↓
命門の陽気が少なくなれば、下焦が冷えて
小便が出過ぎますし
下痢

などにもなりやすいです

逆に腎の津液(しんえき=水)が少なくなれば、冷やすものがなくなり熱が多くなります。
☑便秘や
☑熱性の下痢
☑小便が少なくなる

 

 
 
 

 
 心包の症状(*心包だけに限った症状でないものもあります。)
☑腋下が腫れる
☑肘が引きつる
☑手掌が熱くなる
☑胸脇が下から押し上げられたように詰まる感じがする
☑よく笑う
☑心痛
☑胸苦しい
☑動悸
☑顔面が赤い
☑眼が黄色


 三焦の症状(*三焦だけに限った症状でないものもあります。)
☑目尻が痛む
☑難聴
☑耳鳴り
☑耳の後ろが痛む
☑頬が痛む
☑喉が腫れて痛む
☑舌が巻く
☑五十肩
☑口渇
☑胸苦しい
☑尿閉《尿が全く排出できない状態》
☑遺尿《小便失禁または寝小便のこと、遺溺(いにょう)ともいう》
☑口渇《こうかつ=喉が渇いて湯水を飲みたがること》 



 
 
 ・・・などなど他にも心包、三焦にアプローチしていくことで改善、完治していく病がいくつもあります。